ホワイトブラザフッドへのレクイエム 其の二、オヤジ的観察

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 唐突ですが、オヤジの下らない説教というのは、どうにかならんもんですかね。ごめんなさいね。つい愚痴ってしまいました。

 ところで、ここ最近特に、二元コードという区別に基づいた観察についての投稿をしているので、「区別」「観察」というものが何なのか理解していただいていると思います。

 ですが、二値論理を用いて社会記述する作法は、よく批判される点なのですね。もちろんここをついて批判してくる人は、理論的発展には、何も貢献しないであろう方々ばかりなのですが。その方々は、何やら二元論(二項対立)と二元コードが同様のものであると考えているようで、単純な二元論で観察なんて下らないということになるようです。

 よろしいでしょうか、二元論とは相対立する何かしらの「原理」を観察の根拠とします。その「原理」はホワイトブラザフッドの用いる手法である、外部根拠であり、特権的で強引な決定主義とい云ってもよい。少し立ち止まって熟考してみましょう。観察の正しさ或いはは不正をある原理に根拠づけても、その原理自体の正しさ或いは不正はどうして証明できるのでしょうか。新たに、より外部の根拠に依拠したとしても、結果は無限遡行に陥るだけです。

 では、二値論理を用いた区別は、いかにその区別自体の合理性を保持するのでしょうか。それは観察された当の区別に新たな区別が再参入する形式をとります。換言するならば、観察者自体が、当の観察の対象に含まれるといことです。区別に区別を再参入するという自己言及的な観察は、常に観察を吟味する回帰的、或いはループを通じての観察の再構成をしているのであり、真理だとか、ロゴスだとかイデアだとかいう完全にホワイトブラザフッド的なものは排除します。

 もう少し、コードについて敷衍しておきます。近代は機能分化を前提としていますが、諸機能システムは固有値としての二値に基づいたコードによりコミュニケートしており、それは、一方で、何かコードに縛られている自己を発見する方もおいでかも知れません。けれども必ずしも我々は固定したコードに縛られる存在ではない。なぜなら、区別に対して、その区別を棄却/受容という区別することもできるのだから。そして機能分化した社会においては、それ自体、複雑な様相を呈しているのだから、固定したコードの、その位置設定を変えることで機能システムが別様な観点において分化し記述できるならば、別様のコードも用い得るわけです。

 けれども忘れてならないのは、機能システム独自の二元コードを用いることに徹するが故、社会的透明性を保持した記述が可能となるということ。例えば、学問における真/為というコードで、宗教を扱う際に、内在/超越というコードを使用する宗教的コミュニケーションを回避し、学問という機能システムがうまく作動するわけです。法システムで宗教を扱う場合は、合法/不法、政治システムの場合は、宗教が党にとって必要/不必要、経済システムの場合は、採算が取れる/取れない、といった独自のコードで宗教を扱うことで、独自の機能システムの観察は限定的だけれども、しかし一方で、より確定的な観察が可能になるわけです。このことを社会的透明性と上述しました。

 最後にゲーデル不完全性定理の話しをさせてください。不完全性定理とは端的に、ある形式的体系が無矛盾であれば,その体系内では真とも偽とも証明できないということを、ゲーデルという人が1931年に数学的に証明してしまったという、アカデミズムの世界における大事件のことです。矛盾とは「パラドクス」、或いは「否定」のことです。二値論理を用いるのには、ゲーデルの偉大な発見がヒントとなっています。区別へ区別の再参入という自己言及には、常にパラドクスが在しているからです。つまり、区別し、指し示された側のみを我々は見ることができ、観察には必ず指し示されなかった側があり、つまるところ透明性のための不透明性というパラドクスということであり、システムには記述を可能とするパラドクスが潜在しているわけです。けれど、あくまでも区別の合理性を確保するのは、区別自身の活動であり、ゲーデル不完全性定理を二値論理使用の外部根拠としているわけではありません。

 ホワイトブラザフッドは絶対者の如く、自分は、世界−内−存在でありながら、外から世界を俯瞰する観察をします。その観察には、観察する自己は登場しません。絶対者や神といった何の根拠も持たない外部の原理に依存し、自己を特権化しているにすぎない。何の根拠も持たないといえば、おやじの説教を想起す。ああ、やはりホワイトブラザフッドはちょっとおセンチなおやじに過ぎないのである。


 参照コメント:http://jibun.seesaa.net/article/8657759.html#comment
         http://jibun.seesaa.net/article/9651416.html#comment

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