オートポイエティックシステムの閉鎖性と開放性

ートポイエーシス的システムは、その組織を維持するために必要とする全てを、自己自身で生み出す。その自己関係的または自己準拠的なシステムのあり方から、オートポイエーシス的システムは閉鎖的である。
 
かしオートポイエーシス的システムは開放的なシステムであるとも云える。事実、生物は環境から食料を充足することで、そのシステムの存続を維持している。これは一見、オートポイエーシス的システムは閉鎖的であるという命題に反しているように思われる。
 
のパラドクスを脱パラドクス化するには、次のような説明ができる。生命システムが環境との接触を意のままにすることが可能なのは、そのシステムの閉鎖性によっているからである。開放性という環境との接触は、システムの閉鎖性が環境を選択的に関係づけていることで可能となり、つまりシステムは環境との接触を自己自身によって規定しているのである。このようにシステムと環境との関係は、環境によってではなく、システムの閉鎖性によって関係づけらている。したがってオートポエーシス的システムの閉鎖性は、その開放性のための前提となっていると云えよう。
 
こでシステムの閉鎖性を「自律的」、開放性を「自足的」という言葉を用いて観察してみると、次のようなことが云える。即ち、システムは閉鎖的にオペレーションされているという意味において、「自律的である」が、環境から選択的に自己を維持するために必要なものを補っているという意味において、「自足的ではない」のである。


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