区別の二つのレベル

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 システムが存立するには、システムと環境との差異が要求される。(システムと環境との差異はシステム内における区別であるということを忘れてはならない。)当システムは自己内的にシステムを創発し、その意味では当システムは内的システムの環境という関係になる。内的システムの複雑性は当システム(環境)に比して限定的であり、高次の秩序レベルにある。

 

 次いで我々は次なるレベルのシステム存立の区別を挙げることができる。それは、システムの構成要素と関係の差異である。システムはその構成要素の<選択的/完全な>関係付けの差異というレベルにおいても創発される。

 このようにシステムの存立(観察されるには)には、二つのレベルの差異を提示することができる。

 「環境のないシステムも、システムのない環境もありえないのと同様に、関係的な結びつきのない要素も、要素のない関係もありえない」抜書きp31

 ルーマンの言葉を借りるならば「差異の統一性」がシステムの存立を可能にする。それは、差異は差異としてしか作用しないことに起因する。差異があるからこそ、次なる情報処理過程に接続することができるのである。(例:コミュニケーションシステムにおける意味の差異が後続するコミュニケーションへと接続を可能としている)

 区別によってシステムが創発する二つのレベルを再度確認しておくと、一つはシステム内の分化システムのシステム/環境という差異関係(環境は包括的システムが内部環境となるということに注意)のレベル、もう一つは、諸要素や諸関係への分解のレベルである。

 最初の分解のレベルはシステム分化の理論へと引き継がれ、二つ目の分解のレベルは、システムの複雑性の理論へと受け継がれている。

 システム内において、諸要素が関係づけられ、ある関係づけが選択的に現れるといことは、その選択の背後には、別様である要素の諸関係があり、選択された諸関係は、この別様である諸関係の要素を省略することによって可能となる。ここに、われわれは、複雑性の理論を見出すことができよう。

 またルーマンは諸要素の実態的で存在論的なものであるという考えを排除する。要素という差異の統一体は、関係づけの要素として、要素を必要としているシステムによって、差異の統一体として構成されるのである。

 このようにシステム/環境−差異というレベルの他に、諸要素の間の関係の形成のレベルもシステムを存立させる条件なのである。

 システムを観察するにあたり、必ずしもシステム/環境−差異を出発点とするには、観察が困難な場合は、この要素と関係の差異を考察してもよいであろう。

 「諸要素は、それらの諸要素を統一体として用いているシステムにとってのみ諸要素なのであり、諸要素はこうしたシステムをとおしてのみ統一体なのである。」引用p34(存在論の否定)

 「あるシステムの必要不可欠の、また十分な複雑性は、「その素材によって」前もって決定されてはおらず、システム構築のそれぞれの水準にとって、その関連している環境とのかかわりで新たに規定されうるのである」引用、p34

引用文献『社会システム理論上』ニクラス・ルーマン

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